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喫茶ぺぷちん
〜旅する金魚〜


たびびとしらず #02
島好き在さんの旅の記憶 第二回「メリークリスマス」 風がビュービューと吹きつけ、肌を刺すような冷たさに私はコートの前をぎゅっと抱え込む。 「こんなはずじゃなかったのに…」 という言葉が、さっきからずっと頭の中を占領している。 風に乗って、遠くからクリスマスソングが聞こえてくる。 クリスマスを那覇で過ごすのは初めてだった。というより、12月の沖縄自体が初めてだった。 さすがに半袖で過ごせるとは思っていなかったが、「やっぱり本州よりは暖かいねぇ」と言えるくらいの気候を期待していた。 それなのに、国際通りへ向かって歩く私の口から出た言葉は「寒ぅ…」の一言に尽きた。 海から吹く風がビルの谷間を抜けて、鋭く私に向かってくる。 地元の人たちも「今年の寒さは異常だよ」と言っていた。 日が沈み、あたりが暗くなると、冷え込みは一層厳しく感じられた。 それでも、暗い通りから明るい国際通りに出ると、お土産屋や飲食店から流れるクリスマスソング、三線の音、FMラジオのチャンプルーが、丸めていた体から少しだけ力を抜いてくれた。 シーサーやちんすこう、Tシャツなどを横目に歩い

西舘 在
2025年11月11日読了時間: 4分


たびびとしらず #01
島好き在さんの旅の記憶 第一回「島は逃げない、私が帰れないだけ」 記念すべき第一回目。さて、何を書こうか――そんなことを考えているうちに、ふと過去に訪れた旅先が脳裏に浮かび、しばしトランス状態に。 「島好き」と紹介されたのだから、やはり最初のエッセイは島がふさわしいだろう。 実際、真っ先に思い浮かんだのも島だった。 その島とは、ベタだけれど沖縄。ベタだけど本島。 今から20年ほど前。ANAが「全国どこでも1万円」という破格のフライト企画を実施したことがあった。全路線片道1万円という、まさに“神企画”だった。 当時の勤務先はわりとゆるく、平日だった受付開始時刻に、電話を鬼のようにかけまくった。もちろん、そう簡単には繋がらない。何十回目かのチャレンジでようやく繋がったとき、電話口の方にぶつけたのは「伊丹を金曜出発、日曜戻りで空いている路線はありますか?」という、行き先無視のドンブリ質問。 そう、どこでもよかった。ただ、とにかく旅がしたかったのだ。 たしか予約したのは5月でフライトは7月。北海道方面はすでに満席だったが、運よく「金曜昼前に伊丹出発、日曜

西舘 在
2025年8月14日読了時間: 4分
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