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あなたの隣の花子さん #05

執筆者の写真: Mu moule(ムール貝のムー)
Mu moule(ムール貝のムー)
1月22日
読了時間: 4分

更新日:2月27日

あなたの学校には、語り継がれる"奇妙な話"はありませんか?


学校にまつわる怪談、怖い噂。

一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

このコーナーでは、皆さんから集めた“不思議でちょっと怖い”お話を紹介していきます。



第05怪


兵庫県在住・Kさんから寄せられた投稿


『茶色のあの子』


春になると思い出す話です。

私と夫が住んでいる自宅は、もともと私の実家でした。

亡き父が苦労して建てた家で、築60年を超え、さすがに老朽化と耐震性の問題が無視できなくなりました。

娘もちょうど大学進学で家を出たタイミングでしたので、夫婦二人で話し合い、思い出深いこの家を建て替えることを決意しました。


建て替えの工事期間中、私たちは自宅から車で10分ほどのところにある古い一軒家を借りて、仮住まいを始めました。

入居してまもなく、私は奇妙な現象に遭遇しました。

夜中に目が覚めてトイレへ向かう途中、廊下の隅で何かがサッと移動するのを感じました。

それは、少し濃い茶色のテディベアのような、毛むくじゃらの動物のように見えました。

大きさ的に野良猫が入り込んでしまったのかと思い、夫を起こしてお風呂場や納戸を捜索しました。

しかし、猫は見つかりません。

夫には寝ぼけてたんじゃないのかと迷惑そうな顔をされ、その日はあきらめて再び床につきました。


翌日も家中探しましたが、猫はどこにもいませんでした。

それから一週間程後、買い物から帰り、玄関を開けると、廊下の奥でまた茶色の何かがちらっと見えてスッと消えるようにいなくなりました。

その時に私は、これは霊的なもの、もしくは私の頭がおかしくなったのではないかと考え始めたのです。

新しい環境になってのストレスかもしれないと思い、夫には、またあの茶色の毛むくじゃらを見たとは話しませんでした。

それからというもの、茶色の毛むくじゃらは頻繁に現れるようになりました。

しかし、決して悪さをするわけではなくひょいと覗くように、いつも視界の端をちょろちょろするだけ。

私も、もはや生活の一部として気にせずに暮らすようになっていました。


仮住まいでの生活にもようやく慣れ始めたころ、突然お風呂場からギャっという叫び声が聞こえました。

慌てて駆けつけると夫は泡だらけのまま素っ裸で立ち尽くしています。

聞くと風呂場のすりガラスに茶色の動物が見えたというのです。

そこでようやく、私はあの茶色の塊が頻繁に見えることを打ち明けました。

夫婦ともにどんどんとアレに慣れていきました。

慣れというよりも愛着が湧いたような感じでした。

ふとした瞬間に目が合ったような気がして、この子には悪意がないと直感で分かりました。

夫に至っては、いつの間にか「茶太郎」という名前まで付けてしまい、「最近茶太郎を見ないな」などと言い出す始末です。

きっとあの子は昔この家で飼われていた犬か猫ではないかと二人で話していました。


そして、ついに自宅の建て替えが終わり、仮住まいを出る時がやってきました。

引っ越しの前に、茶色のあの子に「お前も来るかい?」と聞きましたが、ふわっと視界から消えてしまい、以来それっきりです。

ピカピカの新しい耐震構造の家は快適ですが、ふとした拍子に、廊下の隅の静かな影を探してしまうことがあります。

あの子は今でも、あの古い借家で、誰かを驚かせないようにひょいと覗きながら、のんびりと暮らしているのでしょうか。


いまもぴょんぴょん跳ねてるのかな?
いまもぴょんぴょん跳ねてるのかな?

いかがだったでしょうか?

動物好きとしては、なんだか愛おしさと淋しさでほろりとなったお話でした。

茶太郎が、今も楽しく暮らしてくれてればと思います。


あなたの記憶の片隅に残る不気味な瞬間や奇妙な感覚。

お持ちでしたら、編集部までどしどしお寄せください。

次に誰かの背筋をぞくりとさせるのは、あなたの体験かもしれません。

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