あなたの隣の花子さん #06

あなたの学校には、語り継がれる"奇妙な話"はありませんか?
学校にまつわる怪談、怖い噂。
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
このコーナーでは、皆さんから集めた“不思議でちょっと怖い”お話を紹介していきます。

第06怪
東京都在住・Sさんから寄せられた投稿
『不自然な順路』
大学1年生の時、初めてやったアルバイトの話です。
内容は、眠らないと有名な街にある、少し古びた7階建ての雑居ビルの夜間清掃業務でした。
一歩外に出れば、朝まで酔客で騒がしい飲み屋街の一角にあるのに、そのビルの中に一歩入ると、まるで別の世界に来たように音が消え、気味が悪いほど静まり返っていました。
同時期に入った木島君という大学生とペアとなり夜の間にビル全体を綺麗にしていくことになります。
木島君は私と同い年で、彼は誰でも知っている頭のいい大学の学生でした。
一通り仕事を覚えるまで、このビルを長年担当しているベテランの佐藤さんが指導してくれることになっていました。
清掃のバイトが、というより、アルバイト自体が初めてで、何をどうすればいいのかも分かりませんでしたが、佐藤さんはモップの使い方よりも先に、清掃の「順路」を厳守するよう私たちに命じました。
「掃除は、まず3階から。次は1階。その次は2階。そこが終わってから、4階、5階、6階、7階。この順番だけは絶対に守ってね。」
木島君の顔には納得のいかない不満が張り付いていました。
私も非効率だなとは思いましたが、初めての仕事で、しかも親くらいの年齢のベテラン職員さんの指示に口を挟む勇気はありませんでした。
それから1週間もしないうちに、木島君はバイトを辞めました。
出勤すると木島君はおらず、その日からは佐藤さんとペアを組んで業務を進めることになりました。
ある夜、2階から4階のフロアに上がり、掃除機のセッティングをしていた時のことです。
佐藤さんが何もない空間に向かって、「イトウズさん、お疲れ様です。」と頭を下げました。続けて、「新人の坂田です。」と空に向かって紹介された時、私は反射的に会釈をしてしまいました。
その瞬間、背筋が凍るような冷気を感じ、誰もいないはずのフロアに「カツ、カツ」と硬いヒールの音が響き渡りました。 そして、その足音は少しずつ私たちから遠ざかっていきました。
佐藤さんは平然と「礼儀正しいな、お前は。」と笑っていました。
結局、私もそのあとすぐにそこのバイトを辞めました。
事務所に電話をすると引き留められることも、理由を聞かれることもなくすんなり退職でき、肩透かしを食らったような気分だったのが印象に残っています。
あのビルで何が起きていたのか、佐藤さんが新人をからかうために何かを仕掛けていたのか。あるいは、本当にあの順路でなければならない理由があったのか。
今となっては、確かめる術もありません。
いかがだったでしょうか?
Sさんから伺ったお話では、そのビルは今もまだ繁華街の一角に残っているそうです。
イトウズさんって何者なのか。
3階→1階→2階→4階→5階→6階→7階って何の順番なのか?
意味が分からないものって怖いんですよね。
でも、解明しようとしたらもっと怖い目に遭ってしまう気も…
あなたの記憶の片隅に残る不気味な瞬間や奇妙な感覚。
お持ちでしたら、編集部までどしどしお寄せください。
次に誰かの背筋をぞくりとさせるのは、あなたの体験かもしれません。

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